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本のTOP > 和書 > 死者を侮るなかれ (文春文庫)

アイテム詳細

死者を侮るなかれ (文春文庫)
Boston Teran(原著)
田口 俊樹(翻訳)

文藝春秋

グループ:Book /ランキング:405239
価格:¥ 900
発売日:2003-09 /通常24時間以内に発送

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カスタマーレビュー
おすすめ度:
この作品は文体が全てである  (2005-09-17)
 荘厳な叙事詩のように繰り出される濃縮された生硬な文章。「現実というフロアの上で社会システムが血のワルツを踊りはじめても、ディーとバージェスはじっと身をひそめている。」新感覚のハードボイルド・タッチの断言。「我思う──ゆえに我は所有せねばならぬ。これが新しいアメリカン・ドリームだ。」乾ききった叙情詩のように、過剰なまでの汚辱を描出する聖なる表現。たとえば、苛烈な生を刻むシェイとヴィクの官能。「彼女はそこに実在しながら透明になる。逞しい腱と骨の強さを残したまま、その流動体となる。(略)暴力的な彼女の喘ぎはビロードのように柔らかく、彼は彼女を所有し、彼女を破壊し、彼女を救い、彼女の重要な一部になりたいと願う。」この作品は文体が全てである。全編に流れる大音響の言葉のバラードが、読後、沈黙の余情を醸しだす。

生の毒、そして希望  (2005-03-23)
前作の「神は銃弾」の日本語にはまさに殴打されるほどの衝撃と驚きを覚えた。その文体が今回も紙幅を疾走している。また、烈日の毒のような容赦ない台詞まわし。安逸な慣用表現とクリシェの懐に逃げ込もうとする言葉をあえて無一物の荒地に引きずり出し、破格のまた斬新な日本語で料理した翻訳者の類い稀な力量。その文章と多用される暗喩と隠喩の波間から立ち上がる強烈で覚醒的イメージ、そんな言葉の連打――。期待にたがわず素晴らしい訳書だ。テランは文章・イメージの斬新さだけが強調される嫌いがあるが、実は、本書の文章はとても読みやすい。あのボストン・テランが読み易い? 不思議だが本当だ。そこが翻訳者・田口俊樹氏の力量だ。あのテラン節を、もはや手なずけ飼い慣らしたのでは、と思われるような流麗かつ硬質で鋭利な、しかもありとあらゆる罵倒語・卑語の羅列にも関わらず、ある意味で美しい日本語・文章だ。また、すべて現在形で走り続ける小気味良い文体には、きっと目を見張るに違いない。さて、内容だが、本書は、小説自体の問う、お前の願いは何だという、全編を貫くテーマも胸にこたえるが、登場人物が各々の本心を希求しつつ、連綿と紡がれる物語と語り口も実に見事だ。テランは、また、確実に進化している。それに、終章近くの戦闘場面での文章は正に驚嘆ものだ。文章が疾走し跳躍している。凄まじいスピード感でクライマックス・シーンが描かれている。そこに差し掛かれば誰もが、この小説・訳書を読んだ至福を実感するに違いない。必読。

てらんてらん  (2004-01-22)
エルロイって妙にスタイリッシュなのは、現代が舞台じゃないからですね。
リアルな今を描くとテランみたいにダーティになるのでしょう。
登場人物のキャラの立て方が非常にうまい作品。ストーリー以上に読ませる
作家です。
砂漠のように乾いた文体のスピーディさは、いいですマンソン。

リリカルなエルロイ  (2003-11-12)
読んでいる間、ずうっとエルロイの叩きつけるような短いセンテンスの銃撃の匂いを感じていた。ものすごい負のパワー。堕ちていく疾走感。物語がラストに向かって収束していく、焦点の定まり方がハンパじゃない。

話そのものは、なんということはないものなのだが、それに絡んでいく母子を中心とした登場人物たちの語る「哲学」がスゴイ。チャンドラーが洒落た決め台詞の宝庫だとしたら、ボストン・テランは詩的で悪辣な戯言のアウトレット・モールだといえる。

惜しむらくは「なんということのない話」だということで、登場人物たちのパワーの源(それは母子の確執だったり、復讐だったり、金だったりするわけだが)にいまひとつ感情移入できなかったーということだろう。何のために走っているのかわからないまま、終わってしまった。
でもその理不尽さが魅力のひとつなのかも知れないけれど。


ウィルスに侵されて  (2003-11-05)
風邪で脳髄を侵されて会社を休み、一日で読むに値する。但し徹底的に凝縮、昇華した登場人物。好き嫌いが色の混じりあいを拒否するようにスパーッと分かれる。超アンフェタミン中毒母アンド進化型鋳型娘、墓穴男、ゲイ、汚染土壌不正公共事業、etc etc

舞台は現代アメリカの最先端恥部がテンコモリ。最後は登場人物の心根はどんな端役の一人一人までもが常時オンライン ネットワークのように共有していたのを知る。
エピローグでジャック ニコルソンの写真(シャイニング)でフェイドアウトする。

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