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本のTOP > 和書 > 老化を止める7つの科学―エンド・エイジング宣言

アイテム詳細

老化を止める7つの科学―エンド・エイジング宣言
Aubrey De Grey(原著)
Michael Rae(原著)
高橋 則明(翻訳)

日本放送出版協会

グループ:Book /ランキング:204082
価格:¥ 2,835
発売日:2008-07 /通常24時間以内に発送

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カスタマーレビュー
おすすめ度:
生物科学の知見に満ちたスリリングなアプローチ  (2008-07-25)
原書のタイトルは『ENDING AGING』で、アンチエイジングにかけて「エンド・エイジング」という造語をつくったのだろう。老化を止める、老化そのものを終わらせるというアプローチは目新しいけれども、そのアプローチの方法自体はいたって明解だ。

老化のメカニズムというのはそれこそ複雑で、現在の老年学でもその複雑な代謝システムをすべて解明するまでにはいたっていない。テロメアとか長寿遺伝子など近年いろいろなものが「発見」されるが、当然ながらそれだけが老化を司っているわではないのだ。だから予防医学やアンチエイジングのようなものも、老化を「部分的に遅らせる」ことしかできない。

逆に老年医学というのは、老化に起因する病気との戦いを続けているわけだけれども、それは結局は「負け戦」でしかない。老化の原因が特定できていないので当然といえば当然だが、結局は老化によるダメージによって発症する様々な病気(心筋梗塞、アルツハイマー、癌など)への対症療法でしかないのだ。

エンド・エイジングは老年学と老年医学の中間に位置するアプローチだ。ダメージを引き起こす老化のシステム自体には立ち入らずに(なぜならそれを解明するにはまだ何十年もかかるから)、そのダメージの蓄積(老化)によって人体に致命的な影響を与える前に(発症後だと負け戦になるから)、そのダメージそのものを取り除く、というものだ。工学的アプローチと呼ばれるこのアプローチによって、人間は老化そのものを止めることができる、というわけだ。

老化によって人体に蓄積し、かつ寿命に関わるダメージとして著者は7つに的を絞っている。それは細胞レベルからミトコンドリア、あるいは核の突然変異まで多岐にわたるが、今現在の人間の寿命を延ばすには、まずはこれで充分だという。ダメージをいかに修復するかについての記述は専門的な部分もあり、ブルーバックスを読むぐらいの読者層でないと理解できない部分もあるだろうが、著者はそうした記述のすぐあとに例え話で平易に解説してくれるので(焼却炉を改良する/クモの巣にかかる/発電所のメルトダウン、など)、専門的な部分が分からなくても充分に個々の論旨が理解できるようになっている。何よりも一つひとつのダメージについて、どうやってそれを特定し、どうやってその修復方法を突き止めるかを追った記述はまるでミステリーを読んでいるようだ。

科学的正確さは幾多の実験と検証によって証明されていくため、本書の青写真が今後どう実現されていくのかは私たち自身が注視していく必要があるだろう。だが、たとえば原書刊行の後にiPS細胞が登場するなど、予想以上に早く成果が上がっている分野もあるようだ。科学が老化とどう戦っていくのか。最新の知見をふんだんに含んだ知的好奇心をかき立てられる本だった。

まだまだ仮説の域を出ないのにずいぶん自信たっぷり。  (2008-07-24)
生物がなぜ老いるのかはよくわかっていない。テロメアが云々といった説はあるけれど、それがどう作用しているのかも不明だ。本書は、老化というのは細胞がだんだんダメージを受けて再生産できなくなるために生じるんだから、そうした各種のダメージやゴミを取り除けば老化は止められる、という議論を展開している。

で、著者はだれも自分の説を明確に否定できていないという理由で、だから自分の理屈は正しい、という論法をとるんだが……老いるという現象がよくわかっていないんだから、definitiveに著者の説が否定されないのは当然の話。まあそういう考え方もあるかも、という程度の可能性は必ず残る。でもそれは著者のように老化が止められると断言できることにはならないと思う。その意味で訳者あとがきのように「本書は世界ではじめての、きわめて具体的で実現可能な<不老不死>の計画を示した本」などと述べるのは、かなり悪質な大風呂敷だろう。が、本書はかなりその手の悪質な大風呂敷で、仮説でしかないものを「これしかない!」という調子で示してみせる。

著者の自分語りをたっぷり交えた記述はいささかうっとうしく、自分の説とそれが見つかった状況と従来の理論への批判がまぜこぜに出てきてわかりにくい部分が多々ある。そして本書の最後部分は、自分たちの研究に金をよこせという話が延々続く。そういう利害関係を露骨に見せられると、かれの仮説自体もどこまで信用できるかよくわからなくなる。そして記述のレベルも、科学的記述はあまりに詳細で専門的で一般書の水準をかなり超えている一方で予算よこせマニフェストがごっちゃになってしまって、読み進むのに苦労する。もっと第三者的なライターがまとめて客観的に書いてくれたほうがよかった。著者の根拠レスな暑苦しい自信とは裏腹に、これだけ超えるべきハードルが多くては、当分老化阻止なんてのは実現できないな、という印象のほうが強く残った。仮説でよければ、読むのを止めはしないが、さりとて積極的にもおすすめしかねる感じ。

あ、それと本書は、いまあなたにできる老化防止みたいな実用書ではございませんのでそのつもりで。本書に書かれたことのいずれも、いまの読者の存命中には実現しません。
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